実はとってもスゴイ!「だ液」のチカラ  -その1- お口の中の健康を守る!

2022.07.11

お料理中に包丁で指を切ってしまった時など、思わず指をくわえて傷口をなめたりしませんか?実はこれにはちゃんとした根拠があります。「だ液」に含まれる成分には、傷口からの出血を止めたり、溶菌作用といって細菌を溶かして殺す働きがあるのです。
「だ液」って、実はとってもスゴイのです。その「だ液」について3回にわたってご紹介しましょう。まず今回は、「お口の中の健康を守る!」です。

歯は健康のカナメ、その歯を守る「だ液」パワー

外界とつながっているお口には、いろいろなものが入り、お口からさらに体内へと入っていきます。お口は常に細菌やウイルス、乾燥にさらされています。

「だ液」は、お口の中の粘膜や歯を守るために様々な機能を備え、いつもお口の健康を守るために戦ってくれているのです。

(1)お口の中の粘膜を保護しています!

だ液に含まれている「ムチン」という粘性たんぱく質は、水分を多く含む分子構造をしており、お口の中の粘膜全体を覆っています。ムチンによって、お口の中に保湿効果があるとともに、食べ物等外部からの刺激からお口の中の粘膜が傷つかないように保護してくれています。

(2)細菌の繁殖を防いでいます!

お口の中には、多種多様な常住細菌が存在しています。
だ液1ml中にも、約7~8億個の細菌があるとされています。これらの細菌は、人が生まれてすぐに繁殖し始め、お互いにバランスをとって共生しつつ、いざ外部から他の細菌が侵入した際には、バリアとして働きます。

(3)歯の再石灰化を行っています!

歯の表面は、硬いエナメル質という素材で覆われていますが、その硬いエナメル質も酸には弱く、酸が強い環境ではエナメル質も容易に溶けてしまいます。
むし歯の原因菌であるミュータンス菌などの細菌は、歯についた食べカスに含まれる糖を酵素で分解し、酸に変化させます。そのまま放置すると酸がエナメル質を溶かしてむし歯に進行してしまいますが、だ液に含まれているカルシウムやリンなどのミネラルが常に歯を修復しています。この働きは「再石灰化」といい、むし歯の進行を防いでくれるのです。

(4)pHを維持しています!

歯を守る大事な機能がもうひとつ、「pH(ペーハー;物質の酸性・アルカリ性を示す数値)」緩衝機能があります。
通常、お口の中は中性を保っていますが、食後などに非常に強い酸性になる場合があり、そのままでは歯が簡単に溶けてしまいます。
そこで、だ液の中の重炭酸塩やリン酸塩といった成分が働き、酸性に傾いたお口の中を、食後30~40分で食前の状態に戻し、むし歯になるのを防いでいます。

*******************************************
お口の中で働くだ液パワー、いかがでしたか?すごいですよね!
だ液のすごさは、お口のなかだけではありません、身体の様々な場所で、健康を保つために頑張っています。次回は、「全身の健康を守る!」だ液の働きをご紹介します。