お悩み別解消・予防法
お口の悩みは人によってさまざまですが、大きく分けると以下の3つが三大トラブルと言えるでしょう。
こちらでは悩み別に、それぞれの対策と予防についてご紹介します。
悩みその1:歯周病
お口の中にはおよそ300~500種類の細菌が住んでいます。
これらの細菌は普段はあまり悪いことをしませんが、ブラッシングが充分でなかったり、糖分を過剰に摂取することにより、細菌がネバネバした物質を作り出し、歯の表面に付着します。
これを歯垢(プラーク)と言い、粘着性が強いためうがいをした程度では除去できません。
この歯垢(プラーク)1mgの中には10億個の細菌が住みついていると言われ、むし歯や歯周病を引き起こす原因となります。
以前は「不治の病」とさえ言われていた歯周病ですが、現在は予防でき、治療も可能です。
しかしもっとも大切なのは、進行を阻止することであり、そのためには原因となる歯垢(プラーク)をためない】、【増やさない】ことが基本です。
対策1. 歯垢(プラーク)を除去しましょう
歯垢(プラーク)が溜まりやすい場所は、歯と歯茎の境目の溝(歯周ポケット)、奥歯の噛み合わせの溝の中、歯と歯の間です。
歯ブラシで歯を1本1本ていねいに磨き、さらに糸ようじ(フロス)や歯間ブラシで歯と歯の間を清掃したり、歯周ポケットを口腔洗浄器で洗い流すと効果的です。
しかし、「磨けている」と思っていても、実際には「磨けていない」ことが多くあります。
歯の生え方や歯のかぶせ物、歯周病の状態によって、プラークが溜まりやすい部分や、磨きやすい道具は人それぞれですので、自分にあった歯ブラシや磨き方を歯科医院で相談して選んでもらうとよいでしょう。
また、歯ブラシで取りきれないプラークや歯石を、歯科医院で定期的に除去することも大切です。
対策2. 菌の繁殖を抑えましょう
菌の繁殖を抑え、歯みがき後のキレイな状態を長持ちさせるためには、洗口液(マウスウォッシュ)の使用が効果的です。
洗口液は口中のすみずみまで行き渡り、成分が口中に残りやすいというメリットがあります。
特に、歯周病のリスクが高い方は習慣にしましょう。
対策3. 生活習慣を見直しましょう
食習慣、喫煙、ストレス、全身疾患、薬の長期服用による副作用などは、歯周病を進行させる原因となります。
また、歯肉の炎症が全身に多くの影響を与えることも明らかになってきています。
近年、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・糖尿病・誤嚥性肺炎・骨粗しょう症などの病気と歯周病との関連性がわかってきました。
毎日の食生活を含めた生活習慣を見直し、歯周病を予防することが、全身の生活習慣病を予防することにもつながります。
** 歯周病チェック! **
歯周病になると、次のような症状が出ることがあります。
いくつか当てはまる場合は、歯周病の可能性が考えられます。
□歯ぐきがむずがゆい
□歯みがきやフロスを使用すると出血する
□口の中がネバネバする
□歯が長くなった気がする
□歯がしみる
□歯と歯の間に食べ物が挟まりやすくなった
□グラグラする歯がある
初期の歯周病であれば、しっかりとセルフケアを行うことで改善が期待できますが、それでも良くならない場合や、上記の項目に多く当てはまる人は、歯科医院の受診をおすすめします。
悩みその2:口臭
誰でも気になるお口のイヤなニオイ。
口臭が強くないのに口臭を気にし過ぎてしまう人もいますが、口臭の検査と治療を行う口臭外来を受診する人の60%以上は実際に口臭があります。
口と鼻はつながっているため、鼻は常にニオイにさらされているため、慣れが生じて実際に口臭があるのに自分では気づかない場合もあるのです。
口臭対策では、日頃の歯みがきで口腔内を清潔にすることがポイントになります。歯みがき剤は、口臭のもとになる細菌の除去が期待できるものがおすすめです。
強い口臭が気になるときは舌苔の異常や歯周病、虫歯など、口臭の原因となる病気がないか、歯科医院でチェックを受けましょう。
口臭の原因は、大きく分けて2つあります。
1つめは、口の中に原因がある場合で、「舌苔(ぜったい)」という舌の汚れや、歯の汚れ(プラーク)、虫歯、歯周病などが考えられます。
「舌苔」とは、舌の表面に溜まった細菌の塊のことで、一度付いてしまうとなかなか取れません。
舌の表面は、舌乳頭という凸凹の組織で覆われていて、ここに口や舌の表面からはがれた古い細胞や食べものが溜まると、それを栄養源とする細菌がどんどん増殖していきます。
それら細菌が臭いを放ち、さらにネバネバとした物質を出し、ますます取れにくくなってしまうのです。
2つめは、内臓など体に原因がある場合で、消化不良、肝機能低下、糖尿病などが考えられます。
消化不良の場合は、食べたものが胃や腸で停滞し、異常発酵することで腐ったような臭いの口臭が発生するのが特徴です。
肝機能低下では、毒素が分解されないためにアンモニア臭がし、糖尿病では、アセトン臭という甘酸っぱい臭いが特徴的です。
内臓など体に原因がある場合は、歯科ではなく内科の受診がおすすめです。
まずはニオイのわけを知ることが、口臭ケアの第一歩です。
原因によって、取れる対策も異なるためです。
対策1.口内環境が原因の場合~口内をいつも清潔に~
口臭を防ぐには口の中の環境を整えておくことが大切です。
強い口臭の原因となる歯周病を起こさないためにも、毎日の歯みがきをしっかり行いましょう。歯間ブラシやデンタルフロスを使うと、より効果的です。
入れ歯の方はお手入れをきちんとしましょう。
舌苔の除去も大切です。1日1回舌ブラシを使ってケアを行いましょう。鏡で見ながら、ブラシで汚れをこすり取ります。舌苔は舌の奥に多くあるので、念入りに奥を掃除します。
このとき息を止めると、吐き気を抑えることができます。
定期的に歯科でクリーニングをしてもらったり、口の中にトラブルが起こっていないかチェックしてもらいましょう。
対策2.体内環境が原因の場合~生活習慣を見直しましょう~
生活が不規則になり、食生活や睡眠時間が乱れると口臭の原因となります。
口臭を抑えるには唾液の分泌を盛んにすることが第一ですが、朝食抜きは唾液の分泌が促進されず、口中の雑菌は減りません。
また栄養バランスを考えて、できるだけ多種類の食品をとること、胃に負担をかけないため就寝の2時間前からは食べないようにして睡眠中の胃を休ませてあげることなどが大切です。
口臭予防には、アルカリ性食品を多くとるようにするとよいとされています。
アルカリ性食品の代表はカルシウム、ナトリウム、カリウムでこれらを多く含む食品は緑黄色野菜や海藻類です。
野菜を摂れない場合は、せめてこれらを含む青汁や野菜ジュースなどの葉緑素飲料を意識して摂取するとよいでしょう。
歯ごたえのある物や繊維質の物は、しっかり噛むことで唾液の分泌を促すという効果もあります。
また喫煙習慣も口臭の原因となりますので注意が必要です。
** 口臭チェック! **
チェックが多い人ほど、口臭ケアに注意した方がよさそうです。
□口臭があると他人から指摘を受けたことがある。
□寝る前の歯みがきを忘れることがある。
□口の中が乾燥しやすく、ネバネバしていることが多い。
□生活が不規則になりがり。
□喫煙習慣がある。
□歯周病または虫歯があるが治療していない。入れ歯が合わない。
□胃腸が弱い。
□鼻やのどに慢性の病気がある。