歯垢(プラーク)とは?歯石とは?
こんにちは、お口の学校です。
虫歯と歯周病は、どちらも歯垢(プラーク)の中の細菌が原因です。
歯周病は、気付いた時には進行していることも多く、痛くないからといって放置すると歯が抜け落ちることもある恐ろしい病気です。また、炎症を起こした歯茎から菌が血液中に入り、糖尿病を悪化させたり、動脈硬化を促進したり、全身に悪影響を及すこともあります。歯周病菌のなかには女性ホルモンを栄養にして増殖するものもあり、特に月経前や妊娠中は症状が悪化しやすいので注意してください。
では歯垢(プラーク)と歯石はどこが違うのでしょうか?簡単に言うと、丁寧に歯磨きをすれば取り除ける柔らかいのが歯垢(プラーク)で、歯磨きだけでは取り除けないくらいに硬くなってしまったのが歯石です。歯石は歯科医院で専用の器具を使わないと除去出来ません。
〈歯垢(プラーク)とは〉
歯垢(プラーク)とは、歯磨きが充分でなかったり、糖分を過剰に摂取したりすることによって、細菌がネバネバした物質を作り出し歯の表面に付着したものです。口腔内の細菌のほとんどは唾液で流されますが、歯垢(プラーク)は水に溶けにくく歯にしっかりと付着しているため、うがいなどでは簡単に落ちず、歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスなどでなければ、きれいに落とすことができません。歯垢(プラーク)は細菌の塊で、1gあたり1億個以上の細菌が詰まっていると言われ、虫歯や歯周病を引き起こす原因となります。歯垢(プラーク)が溜まりやすい場所は、歯と歯の間、歯と歯茎の境目の溝(歯周ポケット)、奥歯の噛み合わせの溝の中、歯と歯が重なった部分、抜けた歯の周り等たくさんあります。このような場所は、歯磨きをしても歯ブラシが届きにくく、場合によっては届かない場所だと言えます。当然、人によって歯並びは異なるため、歯垢(プラーク)が残りやすい場所も変わってきます。特に、歯並びが悪い方は歯垢(プラーク)が溜まりやすい傾向にあるので、染め出し液を使って歯垢(プラーク)が溜まりやすい場所を把握したうえで、日々入念なブラッシングを心がけると良いでしょう。食後およそ4~8時間ほどで、この歯垢が作られてしまうので、毎食後の歯磨きやうがいが大切です。
■歯垢(プラーク)を除去する方法
歯垢(プラーク)を除去するには、上述のとおり物理的な力でアプローチする必要があり、そのための基本的な取り組みが歯磨きです。また、歯磨きを補助するアイテムとして歯間ブラシやデンタルフロスを活用することも重要です。歯磨きの後にデンタルフロスを使うと、歯垢(プラーク)の除去率が約1.5倍になると言われています。
〈歯石とは〉
歯石は、歯垢(プラーク)が石灰化してできる灰白色の硬い塊です。歯垢を放置していると唾液中のカルシウムやリンと結合して歯垢が沈着してから2日〜14日で石灰化し始め、8日〜15日で落ち着き歯石へと変化します。歯石は死んだ細菌の塊なので、それ自体が悪さをすることはありません。しかし、歯石の表面はザラザラしているのでその上に歯垢(プラーク)が付着しやすいという難点があり、歯周病の原因となってしまうこともあります。それゆえ、口腔内に歯石ができると、「その上に歯垢が溜まりやすい」 → 「歯周病や虫歯になるリスクが高まる」という悪循環が生まれます。歯石は付着している場所によって、「歯肉縁上歯石(しにくえんじょうしせき)」と「歯肉縁下歯石(しにくえんかしせき)」に分けられます。歯肉縁上歯石は歯と歯茎の境目より上にある歯石のことで黄白色をしており、虫歯や歯周病を引き起こす恐れがある「連鎖球菌」「放線菌」「グラム陽性桿菌(かんきん)」が生息しやすいのが特徴です。一方、歯肉縁下歯石は歯周ポケットの中にある歯石のことで、茶褐色をしており歯周病を引き起こして歯周組織を破壊する恐れのある「歯周病菌」が生息しやすいのが特徴です。歯石は一旦歯に付いてしまうと歯ブラシでは取れず、歯科医院で取り除いてもらわなければなりません。歯石は、歯科医院にて特殊な専門の器具にて用いることしかできません。以上のことから、歯石になる前の歯垢(プラーク)の段階で、正しい歯磨きや歯間ブラシなどのセルフケアによってしっかりと取り除くことが重要になります。
■歯石の残りやすいところ
歯石は歯垢(プラーク)が唾液と結びついて形成されるものなので、唾液腺の近くに付着しやすい傾向があります。具体的には、下の前歯の内側や上の奥歯の外側です。毎日の歯磨きの際は、このような箇所を重点的に磨くようにしましょう。また、唾液だけでなく、血液にも歯垢(プラーク)を石灰化させる働きがあります。傷や歯周病により出血している場所があれば、その周辺も歯石ができるリスクは高まります。歯石になる前に歯垢(プラーク)を除去するという意識が大切です。歯石にならないよう日頃からケアすることはもちろんですが、歯石がつきやすい歯を知り、念入りに歯磨きをすることように心がけましょう。
■歯石を除去する方法
歯石は非常に硬く歯にこびり付いているため、歯磨きで取り除くことはできません。歯石ができてしまったら、歯科医院を受診して取り除いてもらいましょう。歯科医院では、スケーリングと呼ばれる専門的な処置で歯石を取り除きます。
〈歯垢(プラーク)、歯石が付かないようにするには?〉
まず、正しい歯磨きの方法で、日々の口腔内のコントロールをすることが大切です。自己流で間違った方法で歯磨きをしていても、汚れが落ちないばかりか歯や歯茎を傷めてしまうこともあるため、注意が必要です。歯磨きだけではなく、食生活に気を付けることも大切です。糖質の多い食事や間食をすることが多い方は、歯垢(プラーク)や歯石が溜まりやすくなりますので、気を付けるようにしましょう。歯垢(プラーク)は虫歯や歯周病の原因になります。歯垢(プラーク)のうちは歯磨きや歯間ブラシ、デンタルフロスを使って除去することが可能です。歯石になって、自分では除去することが難しくなる前に、取り除くようにしましょう。虫歯や歯周病の予防のためにも、まずは歯垢(プラーク)対策を習慣化していきましょう!