良い歯医者さんの選び方①

2024.04.01

こんにちは、お口の学校です。

歯医者さんは実際に通院してみないとわからないといった点もあり、良い歯医者さんを選ぶ基準は?といった疑問を持つのも当然のことかもしれません。歯医者さんの選び方で大切なことは、自分にとって良い歯医者さんを見つけることです。良い歯医者さんといっても、人によって重視するポイントは変わってきます。誰かにとっての良い歯医者さんは、必ずしも自分にとって良い歯医者さんとは限りません。費用が安いことや、自宅・通勤先から通いやすいことを大事にされる方もいれば、治療の専門性を重視する方もいるでしょう。希望する治療目的に合った歯医者さんを選ぶことは当然ですが、自分が何を重視したいのかによっても選び方は変わります。ただし、同じ専門を扱っていても、歯医者さんによって治療における判断基準は違ってきます。事前にその歯医者さんの治療方針などを確認し、納得した上で歯医者さん選びをすることが重要です。今回は良い歯医者さんの選び方のポイントをご紹介いたします。

良い歯医者さんを選ぶポイント①

  • 1.患者数

一人の歯科医師が1日に診る患者さんの数は、良い歯医者さんの選び方で最も重要なポイントです。というのも多くの患者さんを診ることになれば、当然一人あたりの患者さんにかけられる時間が少なくなります。かけられる時間が少なくなると、その分様々なところに歪みが生じます。具体的には麻酔(ますい)に時間をかけられなくなるため、十分に麻酔が効いていない状態で治療を行うこととなり、患者さんは痛い思いをします。また、根管(こんかん)治療(※1)など感染予防が必要な治療においてはラバーダム(※2)を使用しますが、このラバーダムをつけるのに時間がかかるため、この手順が省かれます。その結果、治療結果が悪くなる確率が高くなります。さらにはどんな処置をするのか、などの説明に時間がかけられなくなり、患者さんの不安や質問などに対応する時間がないため、患者さんとしては消化不良や不安を抱えた状態で治療を進めていくことになります。1日に診る患者数は診療時間にもよりますが、1日8時間診療とすれば30分に1人、1日に換算すれば多くても16人程度が目安となります。しっかりと診療しようとすれば、1人30分以上は必要です。1人の患者さんにかける時間は、長ければ長いほど良い歯医者である可能性が高くなります。1人に60分かける歯医者さんもあります。経営としては診る患者数が少なくなるとその分売上も少なくなるので経営が厳しくなりますが、それでもなおその姿勢を続けていくということは、院長の歯科医師としての倫理観が高いことが伺えます。患者さんのことを第一に考え、説明や治療に時間をかけてくれる歯医者さんこそ、患者さんにとって良い歯医者さんだと言えるでしょう。

※1 根管治療

※2 ラバーダム

  • 2.麻酔(ますい)

麻酔がしっかりと効いた状態で治療を行うことは患者さんにとって重要なことですが、一方で痛い思いをして治療を挫折した、トラウマ・歯科恐怖症になってしまったという方もいらっしゃるかと思います。前述の「患者数」の項目でも記載をしていますが、1人1人の患者さんに十分な時間を割ければ、その分麻酔にも時間をかけることができます。表面麻酔(※3)をすることで浸潤麻酔(しんじゅんますい) (※4)の注射針の痛みも軽減し、その後もしっかりと麻酔が効くまで待ってから治療を開始することで、患者さんの治療中の痛みは最小限で済みます。

※3 表面麻酔

※4 浸潤麻酔

  • 3.滅菌(めっきん)・衛生管理

新型コロナウィルスの蔓延によって、滅菌・衛生管理が大きく注目されるようになりました。どんな設備を導入しているかはもちろんですが、それよりも大切なのはどのように利用をしているのか、どの水準で衛生管理を行っているのか、という運用面です。通常診療を行った後や患者さんの口腔内に触れた後は手洗い・エタノール消毒を徹底して行うこと、また、あらかじめグローブ(※5)やマスク、エプロン、アイシールド・フェイスガード等を着用することが挙げられます。感染予防に対してどの程度重要と考えているのか、歯医者さんの価値観が見える例として挙げられるのはグローブの取り扱いです。グローブは本来医療器具や患者さんのお口だけを触るもので、例えばグローブをしたままカルテやiPad、口腔内写真を撮るためのカメラなどを触ることは一切許されません。それらを触る場合は、グローブを外して捨てて素手で触り、また新しいグローブを装着する必要があります。しかし、徹底できていない歯医者さんが多いのが実情です。さすがに、他の患者さんのお口を触るときに同じグローブを使っているケースはないかと思いますが、カルテなどをグローブで触るということはカルテを介して感染が起こるので、結果的に患者間で同じグローブを使用していることと変わりがありません。また、コストの観点からグローブを節約している歯医者さんも多いのが実情です。次に、滅菌できないものをどのようにしているか、という観点です。 滅菌とは、あらゆる微生物を完全に殺菌または除菌するための操作をいいます。歯科治療では抜歯や切開など、外科的な治療が多く行われています。この際に器具へ唾液や血液が付着すると、細菌やウイルスの感染原因になります。そのため、使い終わった器具はしっかり滅菌処理をするか、使い捨てにする必要があります。多くの歯医者さんで用いられるのはオートクレープ(※6)と呼ばれる高温高圧式の減菌器です。ほとんどの器具はこのオートクレープで滅菌が可能です。しかし、高温で洗浄できない器具などについては、ガス滅菌器(※7)が必要です。なお、ガス滅菌器は初期費用やランニングコストが高く、導入できていない歯医者さんも多いようです。プラスチック製品などはガス滅菌器を除き、滅菌器による滅菌を行うことができないため、高度な消毒を行うか使い捨てにします。高度な消毒というのは、たんぱく質を分離する薬液につけ超音波洗浄機で洗浄し、また消毒薬液に30分以上浸すという煩雑な手順が必要になりますが、これらの手順を省いて手洗いして終わりという歯医者さんもあるようです。

※5 グローブ

※6 オートクレープ

※7 ガス滅菌器