早食いをすると肥満になる?

2024.01.08

こんにちは、お口の学校です。

忙しい現代人には、ファストフードなど時間をかけずに食べられるものが好まれる傾向にあり、昔に比べて噛む回数が減ってきているとされています。しかし、早食いをすると肥満を招きやすいため、注意が必要です。ゆっくりとよく噛むことは肥満対策のひとつとして期待されています。その一方で歯を失うと噛めない状態になり、栄養摂取バランスの低下をきたします。食べ物をよく噛むこと・噛めることは健康と密接なつながりを持っています。今回は早食いによって肥満につながる理由やよく噛むことのメリット、早食いを抑える方法についてご紹介いたします。

早食いをすると肥満になるといわれているのはなぜ?

早食いをすると肥満のリスクが上がりやすいといわれていますが、これはなぜなのでしょうか。これには、人間の体の仕組みが関係しています。人間は食事を始めてから満腹感を得るまでに20分以上を要しますが、早食いをすると満腹だと感じる前に食べ物を多く摂取してしまい、結果的に肥満になりやすいといわれています。早食いはメタボリックシンドロームにも関係し、体重の増加やお腹回りのサイズアップにも影響しています。

肥満の定義とは

肥満は太っている状態を意味しますが病気ではありません。肥満であるかどうかは体脂肪率を表すBMI(Body Mass Index)という体格指数(体重(kg)÷身長(m)の2乗の数値)で示され、WHOの判定基準では30以上が肥満です。また日本肥満学会では18.5未満を低体重、18.5~25.0未満を普通体重、25.0以上を肥満としています。日本人の場合はBMI25を越えると肥満による合併症の発症率が高まるため、このように定義づけされたのです。自分が肥満であるかどうか、定期的に体格指数の式に当てはめて計算してみたり、BMIを表示してくれる体重計を選んだりと工夫して肥満を防ぐよう心がけましょう。

よく噛むことのメリット

近年は、ファストフードなどの普及により、以前よりも噛む回数や食事にかける時間が減ってきている傾向にあります。しかし、よく噛むことは、私たちの体にたくさんのメリットがあるため、意識して噛むようにする必要があるでしょう。平成21年7月に厚生労働省からは、食事の際の噛む回数を一口あたり30回以上とすることを目標とした「噛ミング30(カミングサンマル)」が掲げられています。では、よく噛むとどのような健康効果が期待できるのでしょうか。

●肥満を防止する

よく噛んで食べると満腹中枢が刺激されて、少量でも満腹感を得やすくなるため食べすぎを防げます。さらに、ゆっくりと時間をかけて食べれば食後に消費するエネルギー量が増えます。肥満の防止につながり、生活習慣病の予防にも効果的です。

●脳の活性化につながる

よく噛むと脳の血流が良くなり、栄養と酸素が脳に届けられることで、脳の働きが活性化します。その結果、集中力・判断力・記憶力などがアップします。また、よく噛むことはストレス・緊張の緩和にもつながります。緊張をやわらげる化学物質が増えるので、気持ちが落ち着きリラックスすることができます。気持ちを落ち着かせて集中力を高める、ストレスをおさえてリラックスできるなど、噛むことにはたくさんの効果があることがわかっています。

●口内環境を良くする

よく噛むと唾液がたくさん出て口内の細菌が洗い流され、歯の表面がきれいになります。その結果、細菌感染を防ぎ、虫歯や歯周病の予防につながります。また、歯茎の血行促進も期待できます。

●発音が明瞭になる

よく噛むと、口周りの筋肉を使うことになります。その結果、筋肉が鍛えられて発音が明瞭になります。

●胃腸の調子が良くなる

唾液にはアミラーゼという消化酵素が含まれているため、よく噛んで唾液の分泌が促されると、消化吸収のサポートになります。その結果、胃腸の働きが良くなります。

早食いを防止するための工夫

よく噛むことには、様々なメリットがあるとわかりましたが、食事のたびに噛む回数を数えるのは面倒だと感じる人も多いでしょう。そこで、早食いを防止できる工夫をご紹介いたします。

●食材を大きめに切る

千切りよりも乱切りにして、食材を大きめのサイズに切ることで早食いを防止する方法があります。よく噛まないと飲み込みにくいようなサイズに切りましょう。また、皮がついたままでも食べられる食材は、皮つきのままで食べるようにしましょう。

●噛みごたえのある食材を食べる

噛みごたえのある食材を食べると、自然と噛む回数を増やせます。例えば、野菜は火を通さないほうが噛みごたえがあるため、生のままでも食べやすいものは生野菜として摂るとよいでしょう。この他には根菜やきのこ、海藻などの食物繊維が多い食材、たこやいかなどの弾力のある食材もおすすめです。

●ダラダラ食べをしない

テレビやスマートフォンを見ながら食事をすると、噛むことに集中できずに噛む回数が少なくなります。食事のときは食べることに集中しましょう。

●誰かと一緒に食べる

ひとりで黙々と食べていると、よく噛まずに早く食べてしまいがちです。できるだけ、家族や友人と一緒に、会話を楽しみながら食べることも大切です。

●きちんとテーブルで食べる

仕事中のデスクやソファなどではなく、ダイニングテーブルで、姿勢良く座り、よく噛んで食べる習慣を身につけましょう。

人間は、食事を始めてから20分以上経たないと、満腹だと感じにくくなっています。これにより、早食いが過剰摂取につながり、肥満を招きやすくなってしまうのです。よく噛むことは肥満予防につながるだけでなく、脳の働きの活性化、虫歯や歯周病予防、明瞭な発音、胃腸の働きの向上といったメリットも得られます。噛む回数を増やすためには、食材の大きさや選び方を工夫し、自然と噛む回数が増えるように食事内容を見直し肥満を防止しましょう!