子どもの歯を守ろう

2023.06.21

歯が生えてくる兆候

まだ歯が生えていない時期に赤ちゃんの涎(よだれ)の量が増えるのは、歯が生えてくる兆候です。歯茎がむずがゆくなるので、お母様やお父様の指やおもちゃを噛むことがあります。歯が生え始めるときに痛みや違和感で、急にぐずり出し機嫌が悪くなることもあります。これは「歯ぐずり」と呼ばれ、ひどくなると夜泣きや食欲不振に繋がることもあります。そういった時には歯固めを活用してみると良いでしょう。歯固めは赤ちゃんがしゃぶることで、歯茎を固めるのを促します。歯固めを使用することにより赤ちゃんの気が紛れ、歯ぐずりが解消される場合もあります。

歯が生えてくる時期

初めて歯が生えるのは一般的に生後5~6ヵ月くらいが多く、下の歯2本からスタートすることが多いです。乳歯は基本的に前歯から奥歯という順番で生えてきます。1歳くらいになると上下計4本が生えた隣に、さらに2本ずつ歯が生えてきます。1歳半くらいになると奥歯が生えて、犬歯が生えて、2歳半を過ぎたくらいに乳歯が20本全部揃うことが多いです。赤ちゃんの歯が生える時期にはだいたいの目安があるものの、個人差があるのでなかなか生えない場合も焦らずに経過を見守りましょう。1歳くらいまでは生えなくても問題ないといわれていますが、1歳を過ぎても1本も生えてこない場合、心配であれば念のため小児歯科で診てもらうと良いでしょう。

子どもの指しゃぶり

赤ちゃんはお母様のお腹の中にいる時から指しゃぶりをしています。赤ちゃんが指しゃぶりを始め、心が落ち着くと感じれば、指しゃぶりが習慣になることもあります。指しゃぶりは五感を発達させていく過程で必要な行動ではありますが、大きくなるにつれてだんだんと指しゃぶりをしなくなっていきます。もちろん個人差がありますので指しゃぶりをしない子もいますが、指しゃぶりは当たり前のことなので、無理にやめさせる必要はありません。これは気持ちを落ち着かせるための行為、子どもの発達に大切なことだと受け止めて、3歳くらいまではあまり心配し過ぎないようにしましょう。ただし、指しゃぶりがあまりにも気になる場合や、一日中頻繁にしている場合、吸い方が強く傷や吸いだこができている場合には、小児科医や小児歯科医に相談し診てもらうと良いでしょう。

子どもの歯が虫歯になる主な原因と対策

そもそも子どもの歯はエナメル質が薄いです。大人であれば固いエナメル質で歯がコーティングされていますが、子どもの乳歯はエナメル質が薄く永久歯の半分くらいの厚さしかありません。そのためいったん虫歯になると、すぐに進行して神経まで達してしまうのです。では、子どもの歯が虫歯になる主な原因は何でしょう。

① 歯磨きをしていない

赤ちゃんでも大人でも、歯を磨かなければ虫歯になるのは当たり前のことです。歯磨きをしないとお口の中には汚れや歯垢(プラーク)が溜まり、虫歯になってしまいます。

⇒歯磨きは乳歯が生えた段階で始めるのが良いでしょう。どんなに小さな歯でも歯磨きは必要です。歯が生え始めたら、食事をした後は歯をきれいにすることを習慣付けると、お母様やお父様にとっても練習になるので歯磨きもスムーズに始めやすくなります。歯が1~2本のうちは、歯磨きの感覚に慣れるためにガーゼを使って歯をぬぐうように磨くところから始め、ある程度本数が増えてきたら歯ブラシに移行すると良いでしょう。ただし、最初はお口の中に歯ブラシなどを入れるのを嫌がるかもしれません。ここで無理強いをしてしまうと、歯磨きが嫌いな子になってしまう可能性があるので、押さえつけてまで歯を磨く必要はありません。笑顔で話しかけたり、歌ったりしながら歯磨きが楽しくなるよういろいろ試してみるのもおすすめです。赤ちゃんの好きなキャラクターや絵柄が入った歯ブラシを使ったり、歯磨きが楽しくなるような絵本や動画を見せたりしてから磨いてあげるのも良いでしょう。

② 磨き残しがある

歯磨きをきちんとしているつもりでも、磨き残しがあれば虫歯になってしまいます。まだ数の少ない赤ちゃんの歯でも、磨き残しは少なくないので気をつけてあげましょう。

⇒まず、歯医者さんで正しい歯磨きの仕方について指導を受けることをおすすめします。自己流でやってしまうとどうしても磨き残しやすいものです。特に初めてのお子さんの場合には、歯を磨いてあげるという作業に慣れずに戸惑うこともあるかもしれません。赤ちゃんに対する歯磨きのコツをしっかりと教わることが大切です。歯は1本1本違った特徴があります。それを理解した上で、歯ブラシのあて方を変えるのがコツです。また、子育て中のお母様やお父様はなにかと忙しいので、じっくりと歯磨きをしてあげるのが難しいかもしれません。毎食後に歯磨きをする時間をとれない、という場合には夜寝る前だけでもしっかりと磨きましょう。夜寝ている間は唾液の分泌量が減り、お口の中に細菌が増えやすいのです。できるだけきれいな状態にしてから寝かせてあげてください。赤ちゃんは当然のことながら、自分で歯を磨くことはできません。お母様やお父様が正しい磨き方を身につけて、磨き残しのないようにしましょう。

③ 虫歯菌への感染

産まれてきたばかりの赤ちゃんは、虫歯菌を持っていません。では、どうして虫歯になるのでしょうか?それは、お母様やお父様などの周囲の環境によって、大人のお口にいる虫歯菌が赤ちゃんのお口に入ってしまうからです。特に生後10か月~31か月くらいは虫歯菌に感染しやすい時期なので、細心の注意を払ってください。

⇒お母様やお父様たちは、赤ちゃんに虫歯菌を感染させないように強く意識しなければなりません。唾液を介して虫歯菌がうつってしまうので、赤ちゃんの口にキスをしたり口をつけた食べ物を赤ちゃんにあげたり、もちろん使用したスプーンやフォークなどの食器を共有することも、虫歯菌がうつる原因となります。熱い食べ物などをフーフーして冷ます行為も、唾液が飛ぶ可能性がありますので控えたほうが良いでしょう。

④ おやつやジュースの食べ過ぎ

おやつやジュースなどをいつまでも口にする「だらだら食べ」をしていると、虫歯になりやすいので気をつけてください。甘いものや美味しいものを口にしていると赤ちゃんがご機嫌でいるため、ついつい頻繁に与えてしまいがちですが、おやつは決めた回数や時間以外にはできるだけあげないようにしましょう。特に、ちょこちょこと口にしやすいジュース類には注意してください。

⇒おやつの時間は決めてしまいましょう。赤ちゃんは胃が小さく、一度に食べられる量には限度があります。そのためすぐにお腹が空いてしまうので、食事以外の時間でおやつを食べて1日の栄養素を補う必要がありますが、「10時と15時」など時間をしっかり決め、1皿に盛った量だけで済ませるようにしましょう。おやつを食べるときにも、イスにきちんと座らせてあげると、だらだらと食べ続けるような癖がつきにくいです。おやつの内容もゼリーやヨーグルト、果物、チーズのように砂糖が少なく、口の中に残らないものがおすすめです。同じ砂糖の量でも、一度に摂取するより「だらだら食べ」をするほうが虫歯になる確率が上がります。アメやガム、グミなどは、「だらだら食べ」になりやすいので注意が必要です。

子どもの歯を守ろう

乳歯が抜ければ問題ないと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、乳歯の健康状態は今後の健康な歯を維持することに繋がります。子どもが虫歯にならないために、まずは正しい歯磨きをすることが大切です。また、お子さん自身に歯磨きの大切さを教えるのもお母様やお父様の大事な役目です。大きくなった時に自分できちんと磨けているかどうかで、虫歯になる確率が大きく変わってきます。歯磨き絵本などを使い、小さい頃から歯磨きをする理由などを教えておきましょう。大切なお子様のためにも、日頃からお口のケアを行い子どもの歯を守りましょう!