オーラルフレイルを予防して健康長寿!
私たちの健康は、「栄養」「身体活動」「社会参加」の3つで支えられています。
このうち「栄養」については、お口の健康を維持・向上させることがとても大切です。
最近、日常生活で 「なんとなく会話しにくい」とか「噛めない食べ物が増えた」「むせることがある」など、一見ささいなお口のトラブルを感じることはありませんか?
「年のせい」と見過ごさずに、適切な対策をとることによって、健康長寿につながります。
1.「フレイル」とは?
年を重ねて外出の機会が減ったり、社会とのつながりが少なくなったりすると、病気にならないまでも心身の活力(筋力、認知機能など)が低下してきます。このような、「健康」と「介護」の中間的段階を「フレイル」(虚弱、あるいは高齢衰弱)といいます。フレイルは、生活習慣を見直すなどの早めの対策で、もとの健康な状態に戻れる可能性があります。
たとえば、身体的なフレイルを引き起こすサルコペニア(筋肉量と筋力が減弱し身体機能が低下した状態)や、筋力低下によるふらつき・転倒予防には「歩く」ことが推奨されています。歩くことには、心のフレイルである認知機能低下を防ぐ効果も認められており、歩行時間の長い人は認知症になりにくいことが東北大学の最近の研究で報告されています。65歳以上の全員が1日1時間以上歩けば、認知症を18%減らせる計算になるそうです。
2.「オーラルフレイル」とは?
「健康」と「フレイル(虚弱)」の中間に位置するのが「オーラルフレイル」(口腔の虚弱化)です。
プレフレイル、あるいは前虚弱、とも言われています。フレイルや要介護になる前に、オーラルフレイルの段階があるのです。お口の健康への意識が低下すると、お口のささいなトラブルが発生し、それが連鎖してお口の機能が低下していきます。
3. オーラルフレイルの放置は危険!
噛む力や飲み込む力が弱くなると ⇒ 食事がうまく摂れない ⇒ 低栄養状態になる ⇒ 活動量・筋力が低下する という悪循環になり、全身のフレイル進行に大きく影響します。
最近よくむせる、食べこぼす、噛めない食べ物が増えた、滑舌が悪くなった、などの変化がある人は、オーラルフレイル(歯と口の機能低下)が始まっている疑いがあります。つまり、お口のささいなトラブルを「年のせい」とあきらめて放っておくと、自覚がないままフレイルからサルコペニア、要介護状態、死亡に至るリスクが高まるということです。
4.オーラルフレイルの予防策は?
オーラルフレイルは可逆的(元に戻せる)。加齢を理由に諦めず、お口の健康に前向きに取り組みましょう。
(1)歯と口を清潔にする
1日2回以上の適切な歯磨き、歯間ブラシやデンタルフロスを使っての歯間のお掃除、
デンタルリンスなどを使用した洗口、入れ歯の手入れ、等が大切です。
(2)舌・喉・唇の筋肉を鍛える運動を励行し、噛んだ食べ物を舌で丸めたり飲み込んだりする機能を改善する。
たとえば「パタカラ体操」
「パ」「タ」「カ」「ラ」をそれぞれ5回、「パタカラ」をつなげて5回、大きな声で発音する。
(3)定期的な歯科の受診
適切な歯磨きの指導を受け、歯石を除去してもらいましょう。歯垢が硬くなった歯石は専門的なスケーリングでなければ除去できません。また、万一虫歯や歯周病があれば、早期発見・早期治療を。
「お口の健康」の大切さを知って、早めに予防策を講じ、健康寿命を延ばしましょう!