お口のセルフケアのタイミング
お口のセルフケアは、実はタイミングがとても重要です。毎回の食事はもちろん、間食や砂糖入りの飲み物を含めて飲食をするたびに歯を磨くのが理想ですが、現実的には難しいでしょう。そこで今回は、忙しい中でも効果的なセルフケアのタイミングとコツをご紹介します。
虫歯になりやすいタイミングとは?〉
虫歯の成り立ちと関係が深いものに、ステファンカーブがあります。ステファンカーブとは、口の中のpH(ペーハー)の変化を表したグラフです。もともと口の中はpH6.8でほぼ中性の状態を保っています。しかし飲食を行うと、虫歯菌の出す酸により口の中のpHが酸性に傾いてしまいます。そして、pH 5.5以下になると私達の歯は脱灰が始まります。脱灰とは、私達の歯の表面のエナメル質が溶け始めることです。この脱灰が繰り返されることにより、虫歯が発生します。これが元の中性に戻るまでに要する時間を表した曲線をステファンカーブといいます。しかし、私達の口腔内にはたえまなく唾液が流れていて、唾液が口の中を中性に戻しています。唾液は30分ほどで酸性に傾いた口の中を中和しはじめ、傷付いている歯の表面を修復するのですが、これを再石灰化と呼びます。もちろん、口の中を汚れたままにしておくと、この再石灰化の促進は妨げられます。常にダラダラ食べをしていたり、甘い炭酸飲料ばかりを飲んでいたりする人も、唾液による再石灰化が追いつかず常に酸性に傾いた状態になっています。よって、食後はできるだけ歯磨きやうがいで口の中を綺麗にし、ダラダラ食べは控え再石灰化を促進させることがとても大切です。
上記のステファンカーブをみてもわかるように、1日の食事のたびに脱灰と再石灰化が交互に訪れます。食事によって、お口の中がどのようになっているかを認識しながら食生活を送る事が大切です。
〈1日のセルフケアのポイント〉
●朝のケア
起床時の口の中がネバネバしている、あるいは乾燥しているということはありませんか?実は、朝起きたときの口の中の状態は、口臭が最もひどくなる条件を満たしているのです。昼間はそれほど口臭を感じなくても、寝起きの状態ではかなり臭うということもあります。起床時は、口の中の細菌が最も多い状態です。起床してから朝食までに、まず歯磨きをして就寝中に増えた細菌を洗い流しましょう。虫歯予防や日中の口臭対策のために朝食後の歯磨きも欠かさないことも大切です。朝は忙しいので、起床時と朝食後に2回歯磨きをする時間をとれない、という方も多いでしょう。そんな方は、起きたらすぐにうがいをすることをおすすめします。寝ている間に増殖した細菌を洗い流すことが重要ですので、まずは起きたらうがいをする習慣を身に付けましょう。
●昼のケア
食べた後は歯磨きをするのが理想ですが、職場に歯磨きをする場所がない場合や一人だけ歯磨きをするのに抵抗がある人もいると思います。そんなときは、うがいをして食べかすを減らすだけでも効果的です。細菌は食べかすを餌にして繁殖し、歯垢(プラーク)を作ります。歯垢(プラーク)の中には虫歯や歯周病の原因となる細菌も含まれているため、食べかすが残っていると虫歯や歯周病のリスクが高まります。うがいをすることで、酸性に偏った口の中がより早く中性に戻ります。毎日のちょっとしたケアが、歯と口の健康を守ることにつながります。
●夜のケア
寝る前の歯磨きを最も丁寧に行いましょう。食べかすが残らないように、歯磨きを丁寧に行います。口の中に食べかすや歯垢(プラーク)があると、就寝中に細菌が増殖します。歯磨きの前に一度うがいをすると汚れが落ちやすくなります。歯磨きの際は、まず歯の側面やかみ合わせの面に対して歯ブラシをまっすぐに当て、小刻みに動かして磨きます。この磨き方で歯の表面の歯垢(プラーク)を落とせたら、次に歯ブラシを45度に倒して歯と歯茎の境目の溝まで磨きましょう。この溝の部分は磨き残しやすく、菌が繁殖して口臭の原因になりやすいので注意しましょう。また、歯ブラシだけでなく歯間ブラシやフロスを使用するとより良いでしょう。
セルフケアは継続することが最も重要です。タイミングに合わせたセルフケアをご紹介しましたが、続けられそうなものから、まずは取り入れてみてください。自分にとって簡単なケアから1つずつ取り入れて、継続的にセルフケアを行いお口の健康を守りましょう!