ドライマウス(口腔乾燥症)と唾液の役割について

2018.12.03

こんにちは、お口の学校です。歯周病や口臭の原因になると言われているドライマウス(口腔乾燥症)と呼ばれる症状があります。最近はそういった事の問い合わせも頂いております。
お口の学校では皆さまの口腔環境を整える事で気持ちの良い生活が出来るように少しでも有益な情報を提供できればと思っております。
今日はドライマウス(口腔乾燥症)によって、口の中から減ってしまう唾液について、その役割と働き、そしてドライマウスでの機能低下の部分をお話をしていきます。

唾液の役割

1.洗浄作用

これは読んで字の如しで口の中の食べもののカスや残りを洗い流す作用です。これによって口の中に余分なものを残さずに清潔な環境を保つ働きをしています。

2.消化作用

唾液の中には酵素が含まれています。アミラーゼを含みデンプンをマルトース(麦芽糖)に分解する作用を持っています。

3.溶解作用

味物質を溶解して味覚を促進させる働きも持っています。口の中に唾液がなければ、舌で味を感じる事は出来ずに唾液が味覚を大きく促進しているのです。

4.抗菌作用

リゾチーム、ラクトフェリン、ヒスタチン、ペルオキシダーゼなどの抗菌作用を持つ物質が唾液には含まれており、病原微生物に抵抗する事で口の中、身体の中の健康を保っています。

5.緩衝作用

ph(水素イオン指数)を一定に保つ事で口の中の細菌の繁殖を抑えて、虫歯になるのを予防する効果があります。

6.保護作用

歯の表面に唾液が皮膜を張る事で、細菌が直接付着せず虫歯を事前に防いでいる効果もあります。

7.円滑作用

口を円滑に動かす事で発音や会話がスムーズに出来るように促しています。口の中に唾液がなくて、カサカサの状態であれば、うまく話す事は難しいでしょう。

今挙げただけでも7つもの効果が唾液にはあります。そして唾液があることで口の中の環境や身体の健康は守られているのです。
ここで問題はドライマウス(口腔乾燥症)によって、唾液が少なくなってしまう事です。唾液が減る事で本来の口の機能が低下して口臭へと繋がっていく事にもなります。

唾液が少なる事での弊害

ドライマウス(口腔乾燥症)による唾液が減少する事で口の中、身体の中には大きな変化が出てきてしまいます。

1.虫歯・歯周病(歯槽膿漏・歯肉炎)のリスクが高まる

上記でも書いたように唾液には抗菌や洗浄の作用があり、平均的な成人の場合は1リットルから1.5リットル程度の唾液が出ています。
それが減る事によって、口の中の洗浄や抗菌の機能が果たされずに虫歯や歯周病(歯槽膿漏・歯肉炎)にかかりやすくなってしまう事は大きな弊害と言えるでしょう。

2.口臭が悪化する

人間の口の中は全く無臭という事はあり得ません。ただドライマウス(口腔乾燥症)になって、唾液が減少をする事で洗浄効果も同時に落ちます。
口の中の残りカスなどを洗い流せなくなってしまい、結果として口の中に食べ物が残り口臭の大きな原因となってしまうのです。

3.食事が難しくなり、肺炎のリスクが高まる

これは若年層の方にはあまり当てはまりませんが、シルバー世代には非常に大きな問題です。
口の中が乾燥するために、ものを飲み込むことが難しくなる事を嚥下障害といいます。
特にシルバー世代の場合は、嚥下機能が低下すると、飲み込んだものが食道ではなく気管に入ってしまい、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが高まります。
シルバー世代の死因に肺炎が多いのはこういった理由もある事は覚えておいた方がいいでしょう。

唾液がどれだけ口の中で重要な役割を果たしているのか理解して頂けたのではないでしょうか。唾液が少ない、口が乾くと感じる方は歯科医院へご相談に行かれる事をオススメします。
ドライマウス(口腔乾燥症)になる理由については多くの原因があります。次回はそのあたりを詳しく説明していこうと思います。