歯周病は子どもにもうつる?

2023.06.13

歯周病とは、最後に歯が抜け落ちてしまう病気です。従って高齢者に多いイメージをお持ちの方も多いと思いますが、子どもにもうつるということをご存じでしょうか。

産まれてきたばかりの赤ちゃんは、歯周病菌を持っていません。産まれてきた後に周囲の環境によって、歯周病菌をもらうことがあります。歯周病は直接うつるわけではなく、歯周病の原因菌が人から人に移動することでうつります。赤ちゃんの口にキスをしたり口をつけた食べ物を赤ちゃんにあげたり、もちろん使用したスプーンやフォークなどの食器を共有することも、歯周病菌がうつる原因となります。

子どもの歯周病について

子どもの場合、ほとんどは歯肉炎ですが、軽度~中程度の歯周炎の可能性もあります。

その進行度は、歯と歯肉の境目の溝である歯周ポケットの深さが目安になり、歯周ポケットが3mm未満であれば特に問題はありません。歯肉炎は3~4mm未満、軽度~中程度の歯周炎は4~6mm未満、重度の歯周炎は6mm以上が目安になります。

子どもに多い歯周病はプラーク性の歯肉炎と言われるもので、小中高までの思春期の時期に多く、不十分な清掃により付着したプラーク(歯垢)によって起きます。

子どもがかかる主な歯周病

・不潔性歯肉炎

子どもの歯肉炎で最も多いのがこの不潔性歯肉炎です。

子どもの歯肉炎の多くは、学齢期からみられるようになります。健康な歯肉はピンク色で引き締まっていますが、歯肉炎になると赤く腫れてぶよぶよしてきて、出血しやすくなります。

こうした歯肉炎の多くは、不適切なブラッシングや、間食の回数が多い不適切な食生活、口呼吸の習慣等から起こります。子どもの頃からの不適切なブラッシング等が習慣化することで、成人後の歯周炎のリスクが高まることも考えられます。

・萌出性歯肉炎(ほうしゅつせいしにくえん)

永久歯が生える時に歯茎に炎症症状が一時的に起こることがあります。奥歯によく見られますが、これは一時的に歯肉が腫れるだけで、歯が生えるとおさまります。プラーク(歯垢)とは関係なく発症しますが、永久歯が生える頃に歯肉の腫れに気がついたら、いつもより丁寧にブラッシングをすると良いでしょう。痛みや腫れが激しい場合には、うがい薬で消毒をする、鎮痛剤などの投薬等の処置を行う場合もあります。

・思春期性歯肉炎

小学校高学年から中学生くらいに、ホルモンバランスの変化などから現れることがあるのが思春期性歯肉炎です。なかには著しく歯茎が腫れたり出血したりすることもあります。清潔にしていても起こることはありますが、不潔性歯肉炎がベースとなるため、プラーク(歯垢)除去のための適切なブラッシングを日々心掛けましょう。

・侵襲性歯周炎(しんしゅうせいしにくえん)

子どもがかかる歯周病には、稀ですが侵襲性歯周炎もあります。男の子より女の子によくみられ、10~30歳代ごろに多く発症することから、以前は若年性歯周炎とも呼ばれていました。プラーク(歯垢)の有無とは関係がなく、家族で発症する傾向があることから、遺伝が関係しているとみられています。急速に歯槽骨が溶かされるのが特徴であり、一般的な歯周病治療では治らないことが多いです、家族にこの病気の患者がいたら、子どもが小さいうちから定期的に歯科を受診しておくと良いでしょう。

歯周病の予防と治療

歯周病は年齢に関わらず発症します。歯周病の予防として一番大事な対応方法は歯磨きです。歯磨きがしっかりしていなければ歯周病も治せません。基本的なことですが、しっかり歯磨きをしましょう。また、歯周病は、重症化するまではほとんど自覚症状が出ません。歯周病は悪くなってから治療するよりも、健康的で良い状態のうちからその状態を維持していくという考え方をする必要があります。歯を失う原因のトップは歯周病です。皆様方の歯の健康、ひいては全身の健康を維持させるためにも早い段階から予防歯科を始めましょう。また、定期的な歯科検診も怠らないようにしましょう。

2歳までに決まるお口の細菌バランス

お口の中の細菌バランスは2歳までに決まると言われており、2歳までの間になるべく虫歯菌や歯周病菌がうつらないようにすることが大切です。虫歯や歯周病は細菌によるものですので、赤ちゃんや子どもには特に注意が必要です。自分のためにも大切なお子様のためにも、日頃から虫歯や歯周病のケアを怠らないよう一緒に頑張りましょう!