朝起きると口臭が気になるのはなぜ?

2023.09.25

こんにちは、お口の学校です。

寝起きの口臭はモーニングブレスと呼ばれ、1日の中で最も臭いが強い口臭といわれており特に気になる人が多いようです。寝る前に念入りに歯磨きをしても、寝起きの口臭は気になってしまいますよね。寝起きの口臭の原因は、就寝中の唾液量が減少することです。唾液には口内の細菌を洗い流したり、細菌の増加を抑えたりする働きがあります。しかし就寝中は、唾液腺が刺激されないため唾液の分泌量が減ります。また、就寝中の口呼吸により、口内が乾燥するのも口臭が強くなる原因です。口内が乾燥していると細菌がより繁殖しやすい環境となるため、寝起きは1日の中で最も口臭が強いのです。

寝起きの口臭の原因

寝起きの口内がネバネバしている、あるいは乾燥しているということはありませんか?実は、朝起きたときの口内の状態は、口臭が最もひどくなる条件を満たしているのです。昼間はそれほど口臭を感じなくても、寝起きの状態ではかなり臭うということもあります。では、何故寝起きには口臭がひどくなるのでしょう。

  • (1) 睡眠中は口内細菌が最も増殖する

口内の細菌は食後3時間後から急増し、約8時間後に最も多くなります。食べかすがあれば細菌の活動により腐敗し、口臭の原因となるガスがたくさん発生します。寝起きに口臭が最もひどくなるのは、起きているときよりも唾液の量が少なく、歯磨きをしていないためガスが睡眠中に発生しやすい条件になっていることが原因です。睡眠時は唾液がほとんど分泌されず、口内を清潔に保つ働きが弱まって細菌が増殖します。この細菌が口臭の原因になる揮発性硫黄化合物を増やして、ひどい口臭を発生させるのです。ちなみに揮発性硫黄化合物とは硫化水素やメチルメルカプタン、ジメチルサルファイドのことで、メチルメルカプタンは腐った玉ねぎのような臭いがする気体、ジメチルサルファイドは生ごみのような臭いの気体で、どちらもひどい悪臭です。

  • (2) 唾液の量が減少し殺菌効果が低下

口内の細菌は、唾液に含まれる抗菌物質によって殺菌されて増加が抑えられています。しかし、睡眠中は唾液の量が減少し、殺菌効果が低下してしまいます。そのため、細菌が増加し口臭がひどくなるのです。

  • (3) 唾液による洗浄効果も低下する

唾液の効果に細菌を洗い流す効果もあります。睡眠中は起床中に比べ、唾液を飲み込む回数が減少しています。新しい唾液が無いと、細菌を洗い流すことができないのです。そのため、寝起きは口内がネバネバした感触があります。

特に睡眠中に口を開けて寝る方は、唾液が乾燥して、唾液による殺菌効果と洗浄効果の2つがなされないため、より口臭がひどくなります。

寝起きの口臭を防止するための対策

寝起きの口臭がひどいことを自分で自覚できている方に、必ず行ってほしい対策を紹介します。寝起きの口臭がないと思っている方にも試してみることをおすすめします。誰でも起きているときよりも寝起きの口臭は強いものです。

  • (1) 寝る前の歯磨きを最も丁寧に行う

食べかすが残らないように、歯磨きを丁寧に行います。これだけでも起きたときの口臭が大幅に軽減します。口内に食べかすや歯垢(プラーク)があると、就寝中に細菌が増殖します。歯磨きの前に一度うがいをすると汚れが落ちやすくなります。また、歯ブラシだけでなく歯間ブラシやフロスを使用するとより良いでしょう。

  • (2) 舌苔(ぜったい)があれば取り除く

舌苔とは、舌の表面に堆積した白い苔状の汚れのことです。食べかすや細菌のかたまりである舌苔があると、就寝中に細菌が増殖し、口臭が強くなります。舌苔を予防するには、歯磨き後に舌も磨くことが重要です。ただし舌の表面は非常に柔らかく傷つきやすいため、歯磨き粉の使用は避け専用の舌ブラシを使って優しく磨きましょう。舌の色がピンク色ではなく、白、または黄色くなり苔が生えたようになっていれば、定期的に舌ブラシを用いて落としましょう。舌磨きの頻度は多くても1日1回で、適度な力加減で行ってください。

  • (3) 就寝前に水分補給をする

就寝中は500mlの汗をかくと言われています。体内水分量の減少は、唾液の分泌量にも影響を与えるため、就寝中の唾液の分泌を促すために、就寝前にコップ1杯の水を飲むようにすると良いでしょう。寝る前にコップ1杯分の水分補給をすることは口臭対策になるほか、肌の乾燥や血液がドロドロ状態になるのを防ぐことが出来ます。

  • (4) ストレスを抱えた状態で就寝をしない

ストレスによって唾液の分泌は減少します。すぐにストレスを解消するのは難しいかもしれませんが、まずは布団に入ったときにストレスの原因となっていることについて考えないようにしましょう。なかなか寝付けないときは、他のことを考えるために本を読むのもいいでしょう。読んでいるうちに自然に眠ることができます。また、就寝前にラベンダーのアロマオイルを焚くのも効果的です。

  • (5) 就寝前のお酒やタバコを控える

唾液の原料は水分です。アルコールには利尿作用と発汗作用があるため、お酒を飲むと体内の水分量が減少して口内も乾燥状態になります。身体全体が乾燥した状態のまま寝ると、唾液の分泌量減少と合わさって、さらに寝起きの口臭がきつくなります。タバコも口内を乾燥させるため、就寝前のお酒やタバコは控えましょう。

  • (6)起床後、すぐに歯磨きをする

起床時は、口内の細菌が最も多い状態です。起床してから朝食までに、まず歯磨きをして就寝中に増えた細菌を洗い流しましょう。虫歯予防や日中の口臭対策のために朝食後の歯磨きも欠かさないことも大切です。朝は忙しいので、起床時と朝食後に2回歯磨きをする時間をとれない、という方も多いでしょう。そんな方は、起きたらすぐにうがいをすることをおすすめします。寝ている間に増殖した細菌を洗い流すことが重要ですので、まずは起きたらうがいをする習慣を身に付けましょう。

  • (7) 就寝中に口呼吸をしないようにする

日中の呼吸と違い、就寝中の口呼吸は無意識なため、意識して口を閉じるというのは難しいことです。そのため、口呼吸を防止して、鼻呼吸を促進するためのテープを活用してみてください。就寝中にどうしても口を空いてしまう方やテープを張ると気になって眠れない方には、マスクをして寝るのもおすすめです。口呼吸をしないようにするのは、口の乾燥を防ぐためです。マスクをすることで、口内の湿度をある程度保つことができます。苦しい場合は鼻を出した状態にすると息苦しさを緩和できます。

  • (8) 歯科医院を受診する

歯垢(プラーク)が石灰化した歯石も、口臭の原因になります。歯石は歯磨きでは落とせません。定期的に歯科医院を受診して、歯石を取り除いてもらいましょう。また、虫歯があると食べかすが残りやすくなるほか、口臭を発生させる大きな原因となります。また、歯周病も虫歯と同様に口臭発生の原因になります。歯周病は自覚症状がないことが多いため、少しでも異変を感じれば、歯科医院で診てもらいましょう。

寝起きの口臭には、生理的なものや生活環境など、さまざまな原因があります。こちらで紹介した寝る前・朝起きた時の対策を習慣化させることで寝起きの口臭を防止し、爽やかな1日の始まりになるようにしましょう!